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浜松北高地学部天文班 - スポンサーサイト
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2 光害調査アンケート
研究の目的・流れ
過去から現在にかけての光害の進行状況を調べるとともに、地域ごとの光害の度合をまとめる。

今回の調査にあたり、浜松市全域*における後述の光害に関するデータを収集しようと思い立った。しかし、天文班員15人だけで調査地域すべてを調査するのはほぼ不可能である。
そのため、浜松市にある34の中学校に同様のデータを調べるアンケート調査を依頼することにした。しかし、残念ながら依頼した時期が7月下旬であり、行事や夏季休暇等が重なったことにより19の中学校にしか承諾を得ることができなかった。
よって、アンケートデータのない地域に関しては、補足調査として天文班員で調査を行い、浜松市全域のデータを集めた。
補足調査の内容としては、中学校への調査からのデータがない地域に天文班員が出向き、各中学校に対し配布したアンケートと同じものを1枚ずつ答えていくというもので、これにより浜松市のすべての地域のデータを網羅することができた。
なお、中学生にアンケート調査をしてもらうにあたり、事前に各中学校の理科教員に各調査項目について生徒への解説をして頂いたため、データは極めて信憑性の高いものと言える。
*これ以降、「浜松市全域」とは、今回の調査対象である旧浜松市と旧浜北市をさす。

調査方法
(1)中学生を対象にした光害アンケート調査
(実施日)    …平成20年7月22日~24日
(実施時刻)   …午後9時ごろ
(観測箇所数)  …95か所
()各区画にアンケート各問に対する各項目の回答数を集計する。また今回は、アンケートの項目のうち、問1~問9、問16を集計した。
  また、259ヶ所に浜松市を分けた。
()回収アンケート票の各問のうち光害が起こっていることを最も示す項目の回答数の割合を計算し、%で表す。
光害強度を示す%は
(光害が起こっていることをもっとも示す項目の個数)÷(項目全体の個数)×100
で求めた。光害が起こっていることをもっとも示す項目は、
  問1  …「いいえ」
  問2  …「6個以下」「見えない」
  問3~5 …「見えない」
  問6~9 …「よく見えない」
  問16  …「明るい」「少し明るい」
とした。
()%を7段階に区切ってそれぞれ点数をつける。点数は以下のように定めた。
光害強度を示す%をxとすると、アンケート色分け
100%     …7点(赤色)
90%≦x<100% …6点(ピンク色)
70%≦x<90%  …5点(オレンジ色)
50%≦x<70%  …4点(黄色)
30%≦x<50%  …3点(黄緑色)
10%≦x<30%  …2点(緑色)
0%≦x<10%  …1点(水色)
と定め、各項目白地図に色分けした。
また、白で塗られている箇所はデータの収集がされていない地域である。
()各項目の点数を地区ごとに合計し、これを総合光害地図とする。また、総合点数ごとに色分けをする。
 色は、0~24点を黒色、25~29点を紫色、30~34点を青色、35~39点を水色、40~44点を緑色、45~49点を黄緑色、50~54点を黄色、55~59点をオレンジ色、60~64点をピンク色、65~70点を赤色とする。

赤、ピンク、オレンジ色の地域は光害の影響が強いといえる。

(2)部員による光害の補足調査
中学生を対象にした光害アンケート調査で回答がなかった地区、もしくは回答数が少なかった地区を対象に、部員による補足調査を行った。
(実施日)    …平成20年 8月 7日~ 9月12日
(実施時刻)   …午後9時ごろ
(観測箇所数)  …137か所
 ()各区画にアンケート各問に対する各項目の回答数を集計する。また今回は、アンケートの項目のうち、問1~問9、問16を集計した。
()回収したアンケート票の問ごとに決めた色で色分けした。
() 光害が起こっていることをもっとも示す項目を7点、光害の影響を受けていないと思われる項目を1点とし、各問の点数を合計し、これを総合光害地図とする。また、総合点数ごとに色分けをする。色は、中学生を対象にした光害アンケート調査と同じとする。

(3)光害地図の作成アンケート結果区分け
 全体の光害進行状況を分かりやすく示すため、中学生を対象にした光害アンケート調査と部員による補足調査を合わせた光害地図を項目ごとに作成した。また、中学生を対象にした光害アンケート調査と部員による補足調査の両方のデータがある場合は、部員による補足調査を1人の観測結果と考えて、中学生を対象にした光害アンケート調査の集計方法を利用して地図に表した。


アンケート結果
問1 星は綺麗に見えますか 問2 北斗七星(おおくま座)の 問3 北斗七星の上から2番目
                      星はいくつ見えますか     の二重星は見えますか 
アンケート結果1アンケート結果2アンケート結果3
問4 北極星は見えますか 問5 天の川は見えますか 問6 北の空はどうですか
アンケート結果4アンケート結果5アンケート結果6
問7 南の空はどうですか 問8 東の空はどうですか 問9 西の空はどうですか
アンケート結果7アンケート結果8アンケート結果9
問16 付近の明るさはどうですか     総合
アンケート結果16       アンケート結果総合

項目ごとの考察
問1  星は綺麗に見えますか
郊外では比較的星が綺麗に見えるが、浜松市街や工場(地区番号4、49、80、128、204、243)、大規模建造物(地区番号4、76、82、228)の近くでは綺麗な星を見ることはできない。浜北区や五島地域(南区、遠州灘付近)のほとんどの地区では星がよく見える。

問2  北斗七星(おおぐま座)はいくつ見えますか
国道152号線と257号線に挟まれた地域では北斗七星を見ることがほとんどできない。過去の研究では、北斗七星が浜松駅を中心に見えなかったのだが、今回のデータでは、中心地が北西(広沢、鹿谷町周辺)に移動している。

問3  北斗七星の上から2番目の二重星は見えますか
平成9年の調査同様に全体的に、観測することが難しいという結果が得られた。ただ、浜北区北部や南区南東部では北斗七星の上から2つ目の星の二重星が見えるという結果になった。

問4  北極星は見えますか
浜松市外郭部の大部分では北極星を観測できる。北極星が見えない地域は浜松北高を中心に広がっている。

問5  天の川は見えますか
浜松市の浜北区を除いたほとんどの地域で天の川を見ることができない。
浜松市で天の川を見ることは難しいと言っていいだろう。

問6  北の空はどうですか
星の可視・不可視に規則性はない。国道152沿いのあたりが過去のデータに比べて悪化している。

問7  南の空はどうですか
場所によって星の可視・不可視にばらつきがある。南の方向は、他の方角よりも星がよく見える。これは、浜松市の南側が海に面していることが影響していると思われる。

問8  東の空はどうですか
国道、主要地方道沿いの地区の結果が過去のデータよりも悪化している。南区南東部でも東方向は星があまり見えないという結果になった。これは国道などの光が原因だと考えられる。

問9  西の空はどうですか
舘山寺街道沿いでは、西方向にあまり星がみえない。「浜松駅」を中心として見えづらいという地域が広がっており、郊外にもおよんでいる。

問16 付近の明るさはどうですか
浜松駅付近を中心に、夜でも明るい地域が放射状に広がっている。この項目のみから判断する場合、遠州灘周辺(中田島砂丘付近)西区、浜北区では全体的に観測に暗いため適しているといえる。

平成20年 総括
浜北地区、南区南東部は他の地区に比べ光害の影響をほとんど受けていない。外郭部も前述の2つの地区には劣るが、比較的星を見ることができる。浜松市の中心地にあたる浜松駅の周辺が、大きく光害の影響を受けている。また、星の見え方自体は、個人差、天候による誤差、季節による星の違いなどから光害の影響が大きいと判断されうるデータが見られた場合でも一概に光害の影響が拡大しているとは言い切れない。

主要な道路との比較
前述のアンケート調査により得られた光害の度合いについてのデータにもとづき彩色した地図をもとに、われわれが光害の主因と仮定した主要な道路と比べてみた。
予想に反しあまり大規模道路と光害の増加に関係は見られなかった。これにはいくつか理由が考えられる。
・まず、国道一号線などは交通量が多いが、周囲はガソリンスタンドや運送倉庫などを除いて田んぼなど自然が広がっている。あまりにも大きな道路沿いでは騒音、また深夜の車の明かりなどが原因となり、かえって商業施設や住宅地の建設にとって不向きな条件となっているのだろう。
・次に、近年は東名高速道路や国土交通省直轄管理の国道1号、また主要な都市道路をはじめ、新型の道路照明灯への切り替えが始まっている。この道路照明灯はかつてより小さな電灯部の面積で広範囲を照らすことができ、支柱に使用する金属の量を削減できるほか、光害対策を意識した設計により路面以外の周囲に漏れる光の量が格段に少なくなっている。もはや今後は道路照明灯=光害と単純に決定づけるわけにもいかないだろう。また、東名高速道路等は周囲に漏れる光を抑制する工夫を遮音板に施している。
・最後に、道路そのものの働きについて考えてみたいと思う。当たり前ではあるが、もちろん同・異地域間の人・物の移動に貢献している。今までの研究ではこれのみが重点的に考えられてきたようにも思えるが、それ以外にも周囲に対しアクセスの利便性向上により工業・住宅団地の建設を働きかけることも行っている。これらの場所には人口や、商業施設等による大規模な照明が集中し、まさに光害が発生する代表的な構図が出来上がる。地図を見てもこのように道路の周辺部に光害が広がっていることが明らかに読み取れる。大規模な道路の整備によりいろいろなところから人とともに光害も浜松市に集まってきており、さらに都市のスプロール化により光害の中心が中心市街地だけであるという単純な構造が崩れつつあるだろう。
今後、道路自体から生じる道路照明や自動車等による光害だけでなく、それらの周りにある商業施設からの照明拡散についての対策も研究していかなければならないだろう。
以上より、光害は商業施設からの照明拡散による面が大きく、道路そのものによる影響が少ないと十分考察できる。

土地利用図との比較結果
アンケート結果と平成19年度の土地利用図を比較したところ、以下のことが分かった。
※下記の番号は全て地区番号である。

 ・南区南東部、浜北区北部は、田畑、山林が多く、暗い。
 ・浜松駅周辺は住宅地や商業用地が集中しているせいで、非常に明るい。
 ・浜松駅南東は住宅地が多いが、暗い。
 ・84、97は雄踏街道の影響で明るい。
 ・228は田の他に工場用地も多いが、暗い。
 ・自衛隊基地の北側は、工場用地と住宅地が多いが、暗い。
 ・佐鳴湖東部はほとんどが住宅地で、全体的に見て平均的な明るさである。
 ・146、150、158、163は交差点の影響で明るい。
 ・72は工場用地が多いが、暗い。
 ・125は山林が広がっており、暗い。
 ・204は田畑が多いが、明るい。
 ・219、143は田畑が多く、暗い。

以上のことをふまえるに、商業用地があるところはほとんど明るいと言える。また、田畑、山林、は全体的に暗く、住宅地や工場用地が多いところでも暗い。加えて、交差点や交通量の激しい道路の近くでは光害が大きい。自動車のライトや排気ガスが原因と考えられる。
住宅地や工場用地が集中しているところは明るいと予想していたが、結果は暗いと出た。夜間は光が外に漏れることが少ないため、光害への影響は小さいと考えられる。

反省・今後の課題
今回の光害アンケート調査では、アンケートを実施した日にちにデータをまとめる関係上、大きなばらつきがあった。そのため、気象条件に差があったと思われる。
また、過去のデータと比較してみると光害の進行が改善されたと思われる地域がある。実際に、その地点に行きどのような改善策がとられたのか調べる必要がある。
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浜松北高地学部天文班 - 光害2008年度版-2
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